2009年06月06日

本の紹介 【死刑/森達也】

本の紹介 【死刑/森達也】


本のご紹介。
このブログののんびりした雰囲気には少し違和感な題名かもしれませんね。
足利事件の菅家さんの冤罪の問題、そして裁判員制度の導入というこの二つのニュースを考えたときにこの本を思いだしました。

私は基本的には死刑反対論者です。
その理由は「死んだら生きかえらない」から。
もちろん他にも色々な理由はあります。
「人を殺してはいけない、死刑だって人が人を殺す行為であることに変わりはない」
「人は改心する可能性がある」などなど。
でも一番は、「冤罪で死刑にされたらその人は帰ってこない」と思うから。
もちろん死刑を無くした場合の弊害もたくさんあるとは思います。
そして自分の大切な人が被害にあっても死刑反対と言い切れるか自信はありません・・・。
でもやっぱり死刑は何か違うんじゃないかなって思っていました。

裁判員制度の導入によって死刑の判決に一般市民が参加するかもしれない。
なのに死刑について何も知らない。
私はこの事をすごく不安に感じていました。
この本では著者の目を通して【死刑】って何だろうと探っています。
初めは反対派だった著者が両方の意見の人たちと関わっていくうちに悩む。
同じように私もこの本を読むことによって悩みました。
はっきり言って「知らなきゃよかった」とすら感じることもありました。
でも、この「知ることによって悩む」に重要な意味があるんじゃないかな。
何も知らずに「人を殺したら死刑が当然」や「なんとなく死刑は良くない」と思うのではなく、色々な側面を知り「法と何か」「人間とは」「生きる事の意味」を考える。
そこに悩む意味があるんじゃないかな、と。
そして悩むことによって新しい形が生み出される可能性もあるのだと思います。

私の意見はともかくとして興味のある方はぜひ読んでみてください。
悩むことが得意な著者の特性がすごく生かされた本だと思います。


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Posted by *kohan* at 11:43│Comments(1)*本の森*
この記事へのコメント
ただしこういう事件のニュースを見ると死刑の重要性を感じたりもする。
  ↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090606-00000046-yom-soci
日々悩む訳です・・・。
Posted by *kohan**kohan* at 2009年06月06日 12:09
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    コメント(1)